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まず、介護の世界に入ったきっかけについて聞かせてください。
もともとは母親が介護職に就いていたこと、祖母が特別養護老人ホームに入所していたことがあって、子どもの頃から福祉を身近に感じる機会があったことですね。それに、人に携わりたい、人を助けるような仕事をしたいという気持ちがあったので、介護が選択肢のひとつでした。福祉の専門学校に入って、介護職に就きたいという気持ちが固まりました。人と関わりたいという夢が実現したという意味では、ベストな選択だったと思っています。
実際に介護の現場に入ってからは、どうでしたか。
ちょうど「はなかいどう」立ち上げの時期に入職しました。周りの職員はほとんど新人、自分も社会人1年目で、何から手をつけていいのか分からず、戸惑うことが多かったです。とにかく3年目くらいまではあっと言う間で、目の前の仕事をこなすことに精一杯でした。そんな状況の中でも、私の介護に対する姿勢というものは、崩したくなかったですね。
介護に対する姿勢とはどんなものですか。
「第一に利用者がいて、その中で職員がどう動くか」ということです。常に利用者様の事を念頭に置き、その目線に合わせて職員が動かなければ、より良いサービスを提供できない、という考えは今でも変わっていません。生活の場である施設で、在宅時と同じような生活を維持してほしい。利用者さまのニーズ・訴え・希望は少しでも多く実現するお手伝いをさせていただく、そんな気持ちを忘れたくないんです。
入職から10年、現在は主任として、江口さんが最も力を入れているのはどのようなことでしょうか。
職員1人ひとりとじっくり会話して、皆がどんなことで悩み、迷っているのかを聞いて、できるだけフォローをすることです。日常のコミュニケーションは大切ですね。雑談もしますし、その日の利用者様の様子の情報交換もします。風通しの良い環境を作ることは大切です。自分の担当業務や、主任としての業務が多いので、難しい面もありますが。
自分は主任ですが、指導だけではなく、職員1人ひとりの意見をできるだけ聞くことを心がけています。施設ケアはチームで行うものですから、いろいろな目線で見た意見を取り入れることが必要だと思っています。「こうしてください」という指示ではなく、「こうしようと思うんだけど、あなたはどう思う?」と、投げかけるようにしています。そうすることで職員1人ひとりが、自分の担当業務に対して責任意識を持つことにもつながっていると思っています。
「はなかいどう」の介護の質について、どう考えていますか。
介護保険制度がスタートしてから、利用者側の要望というのは、どんどん高くなっています。それにいかに応えていくか。選択される側として、常に意識していなくてはいけないと思っています。
多くの利用者さまやご家族から、『お世話になるならまた「はなかいどう」が良い』という感想をいただきます。それは、一人ひとりへの細かいサービスに満足をいただいているからではないでしょうか。かといって、私たちのケアは何から何まで手助けするというわけではない。ゆっくりと時間をかけてお一人お一人に寄り添い、適切な見守り、声かけを実践することで、利用者さまの残存機能を最大限に引きだすことを目標にしています。それが、入所前より日常生活動作のレベルが向上するという結果に結びつき、利用者様の満足につながっているわけです。 「はなかいどう」で自慢できることは、介護職だけでなく他職種の能力・意識が非常に高いこと。リハビリの際は理学療法士が的確なアドバイスをくれるし、医師・看護師は、利用者様を最もよく見ている介護職の意見を積極的に取り入れてくれるので、仕事にもやりがいを感じますね。
スキルアップのため、職員が主体となり、講師を務める内部研修にも取り組んでいます。かなり充実しているなと感じます。職員が講師をすることで、他の職員の参加意識も高まり、能力の共有の良い機会となっています。「はなかいどう」の職員は、技術向上への意識が高いので、日頃のコミュニケーションで情報を共有することにも積極的です。
「はなかいどう」ではどんな人材が求められていますか。
資格や知識ではなく、どれだけ利用者様の立場で物事を考えられるか、という心の部分が重要だと思います。技術については現場で少しずつステップアップすればいいのです。介護業界は全体的に人手不足だと言われているけれど、思いやりの心を持たない職員が増えてほしいとは思いません。常に利用者さんを思って接していただける人がいいですね。職員間でもコミュニケーションは活発です。上司や、先輩職員が後輩職員の悩みや課題を一緒に考え、常に問題解決に取り組んでいます。
仕事以外で、楽しんでいることは何でしょうか。
20年以上続けている野球と、洋服です。一番楽しいのは、服を買いにいったり、着たりして楽しむことですね。洋服は、お店を開けるんじゃないかっていうくらい持っています。アメリカの5〜60年代の雰囲気に、アウトドアのテイストを自分なりに取り入れるのが好きです。野球と洋服の話をしている時が一番楽しいですね。仲間がいるっていうのが一番大きいですが。好きなものは、長い時間をかけて突き詰めるタイプなんですね(笑)
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